通勤ルートにビジネスホテルがある。
出勤時に、朝食を食べている人を見ることがやめられない。
狭いホテルなので、通常ロビーとして使っている空間が、朝だけ食堂として使われている。
ガラス張りのロビーの中は外からもよく見え、それを歩きながら見てしまう。
ささやかなバイキングが載ったワゴン。
ロールパン、ごはん、鮭、半分に切ったバナナ、ゆで卵。
その全ての味をわたしも知っている。
不味くはない。美味しくもない。
甘食を食べている時、大体似たような気分になるね。
宿泊者が、それらをつまらなそうに食べている。
人がモソモソ食事をしている姿を見ると、なんかいいもの見たな、と思ってしまう。
「生命活動」という言葉がぴったりのあの感じ。
何等かの理由で非日常の朝食をとる人を、本当は腰を据えて見ていたいが、せいぜいゆっくりめに歩いて、こっそり見る。
自分はいつもと変わらず出勤するのだなと思うと、彼らがなんとなく羨ましい気がすることもある。