週刊ゆふあや 夫とiPad

月曜日

私のiPadを夫も使えるようにした。

前々から共有させてほしいと言われていたのだが、iPadには私のインターネット生活が全て入っているので、抵抗があり断っていた。夫が私の個人的な部分を勝手に見るとも思っていないし、見られた所で何も無いけど、自分のスマホタブレットを触られるのって、皮膚を撫でられているのと変わらないくらいゾワゾワする事だと思う。

でも昨夜、夫がスマホの小さな画面で「ルーキーズ」を読んで「ううっ、感動する……」とか言っていて、何だかもう、iPadのでかい画面でで読ませてやりたいな……と思ってしまった。好きな男がスマホでちまちまルーキーズ読んでたら、誰しもがそう思うはずだ。自分のプライバシーよりも、夫に大画面でルーキーズを読ませたいという気持ちが勝った瞬間だった。

余談だが、夫は時々森田まさのりが描く絵の顔マネをしてくれる事がある。

 

火曜日

とある一人称のミステリを読んでいたら、うーん、あんまり納得できないなあという感じの解説パートがあった後、「かなり強引な理屈だが美声の男が喋っているので説得力があった」って書いてあってマジでびっくりした。めちゃ売れてる作家の本なんだけど、勇気もらえるね。これでいいんだ。

あと、こういうの読むとやっぱり島田荘司はすごいなって改めて思う。(冷静になるとどう考えても無理なトリックなのに、いつも妙な説得力と、信じたいという気持ちにさせる壮大な夢があるから)

 

水曜日

なんの脈絡もなくサウンドクラウドで見つけたカッコいい曲を貼る日にする。

圧縮/はらきり侍

soundcloud.com

サウンドクラウドで見つけた人、大抵その他の情報が得られ無いまま謎で終わる。

 

木曜日

 バカミスの名作と名高い「六枚のとんかつ」の続編「六とん2」をKindleで買って読んだ。続編と呼べるのは最初の2話だけで(しかも探偵が失踪しちゃった)、あとは昔の刑事ドラマとSFと恋愛のごった煮みたいな不思議な短編集だった。

このシリーズ「六とん4」まであるんだけど、この調子だと4は一冊まるまる真っ当なタイムリープ&ボーイミーツガールになっている可能性がある。そしてやはりあとがきが面白い。

 

金曜日

ライブハウスに行った。

入口で手指消毒と検温、個人情報の記入をして入場。通常のライブとチケット代金は変わらないのに、300人くらい入る会場で、観客は50人くらい。本当に少なかった。

フロアには簡素な椅子が並べられていて、指定された番号に座る。ステージと客席の距離も広くとられていた。

「拍手はいいけど声援はダメ」というルールがだったので、座ったまま、とにかく拍手。普段ならワーワー声が上がる場面でも、無言でいなければならなくてもどかしい。元々ペンライト制度があるアーティストなので、持参したペンライトを振れたのは良かった。これが無かったら、演者からは何も見えず声も聞こえずで、仕方ないと分かっていても結構悲しいのではないかと思う。

同時に有料配信も行っていて、曲の途中でたまにカメラに近づく、曲の合間にスマホを見ながらコメントを拾うなど、配信の視聴者に向けたサービスも並行してやっていた。会場と配信、どちらもお金を取る以上、両方大切にしなければいけない。このスタイルは、かなり”今”を象徴しているなと思う。

とりあえず、私が見てきたライブハウスの現状がどんな感じかを淡々と書いてみた。久しぶりに大きな音で好きな音楽を聞いてとても楽しかったし、厳しい中でもエンターテイメントを提供しようと奮闘する人々に鼓舞され、私も頑張ろうと思えた。一方ではやはり、とても苦しい気分だ。この状態で3500円は、安すぎる。

 

土曜日

私が書いた短編未満の短い小説「元気が出るチャーハン」に「おもしろかった」と一言コメントをくれた人がいた。家族や友人以外でそんな事を言ってくれたのは、あなたが初めて。ここ最近の出来事で一番嬉しかった。本当にありがとう。

【短い小説】元気が出るチャーハン - ゆふいん日記