週刊ゆふあや 黄色から青はおかしい

水曜日

主に夕方の機嫌が悪い時、のんちゃんに「シナぷしゅ」という赤ちゃん向けの番組を見せている。

歌のコーナーが好きで、特に「はじまりぷしゅ」と「おわりぷしゅ」は必ず真剣に見ている。「もいもい」はあまり好きではないようだ。

 

木曜日

ディズニープラスで「ドクター・ストレンジ マルチバースオブマッドネス」が配信されたので、夫と見る。

二人共すでに劇場でも見ているので、アイスを食べながらアレコレ文句を言いつつ見て、楽しかった。

劇場で見たときはX-MENに気を取られてそこまで考えが及ばなかったけど、見返してみると、イルミナティの所業がカスすぎて驚く。私刑殺人隠蔽集団。そこに気づくと、その後の展開には本当にスッキリするね。そして、モルドを閉じ込めるために設計された謎の溝が面白い。

突然の音符バトルは何度見ても意味不明で最高。MCU屈指の名シーンだと思う。

 

金曜日

赤ちゃんのオムツは股間に黄色いラインがついていて、それが青に変わるとおしっこをしているサインなんだけど、逆じゃない?って思う。おしっこ色に変わるべきじゃない?

納得いっていないせいか、いつもどっちがどっちだったかわからなくなってしまう。

昼食に冷凍チャーハン。1人だったので、ただそれだけを食べた。2人だったら絶対にサラダかスープを作っていたと思うけれど、1人だとなぜかそうはならない。もっと自分を大切にすべきでは?と思う。

 

土曜日

子供向けのサービスを探していて、近所に良さそうな店を見つけたのだが、ホームページをチェックすると、新型コロナウイルスのことをわざわざ「武漢ウイルス」と書いていたのでヒッとなって、そっ閉じ。

思想強めの人が、ちゃんとその思想をオープンにしてくれているのは本当に助かる事だ。そういう人間なんだって事をちゃんと示してくれていたら、無駄に接触しなくて済む。

 

日曜日

のんちゃんのハーフバースデーに向け、コツコツとワンピースを作っている。

ロータリーカッターと直角定規を買ったので、苦手な布の裁断が以前に比べると格段に綺麗に、楽しくできるようになった。ちゃんと水通しと地直しもした。なんだか上手く行きそうだ。

 

月曜日

ワンピースが完成した。

ギャザーが均等にできなくて少し不格好ではあるが、ワンピースの形をしている。のんちゃんに試着してもらったら、なぜか声を上げて笑ってくれた。気に入ってくれたのだと解釈しよう。

 

火曜日

ゲルハルト・リヒター展へ。

「ビルケナウ」という作品がすごく面白かった。

何も知らずに見ると、ただのデカくてグチャグチャな4枚の抽象画なのだが、もともとは強制収容所で密かに撮られた4枚の写真であり、それをフォトペインティング(まるで写真のように描かれた油絵)にしようという発想から始まっている。

しかし、ホロコーストを描くことそのものと向き合う内に、フォトペインティングにすることはできないと結論づけたらしい。平たく言ってしまえば挫折である。そして、最終的に写真の面影は全く無い抽象画になったという経緯だ。

その向かいには4枚の絵をプリントしたものが並び、部屋の奥にはその両側を映すように鏡が設置されているという構成も良かった。鏡は灰色に塗られている。前に立つと、ビルケナウと、コピーされたビルケナウが連続し、その中に個を失った自分がいるように見える。

フォトペインティングのシリーズも凄かった。

よく「写真みたいな絵って、じゃあそれ写真でいいじゃん」という意見を言う人がいるが、その事について考え続けているのがゲルハルト・リヒターだと思う。

自分とは無関係の写真(たまたま雑誌に載っていたもの)を油絵の具で忠実に再現する。離れて見れば写真そのものだが、近付くと筆の跡が生々しい。写真を描くことで、それが絵であることを強調しているようで面白い。かと思えば、今度は絵を写真に写した作品が登場する。眺めていると、自分の中で何かが揺さぶられるのを感じる。

リヒターの「偶然を求める」姿勢にもかなり心を動かされた。

偶然というのは偶然であるので、自分で生み出した偶然は偶然ではない。結局どこにだって、自分の好みが現れる。その上で、限りなく偶然に近付くためにはどうしたらいいか。「カラーチャート」や「ストリップ」という作品は、そのひとつの答えだった。

私はSpotifyから流れてくる音楽が不満で、もっと偶然にならないものかとよく考えている。